2022年総会・春季懇話会開催報告
2022年5月27日18:00~ 学士会館とZOOMオンラインによるハイブリッド方式にて、総会・春季懇話会を実施しました。
(開催概要はこちら)
総会
2年間の活動実績・会計報告が西本麗会長から報告され、今後2年間の活動計画・予算及び西本麗会長をはじめとする新役員が審議に付され、全会一致で賛同をいただきました。
春季懇話会
その後の懇話会では20名を限定とした学士会館での出席者とZOOMによるオンラインの計50名の出席のもと、大阪大学医学部名誉教授、大阪大学免疫フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之先生に『新型コロナはワクチンだけで防げるのか?』というテーマでご講演をいただきました。
要旨
1.PCR検査
感染者数の拡大についていろいろな説が語られたが、ほとんど正しくない。
①新型コロナではPCR陽性の人の~95%が抗体陽性となる。抗体が陽性となるということは医学的に感染した人のことを言う。すなわちPCR陽性者の大部分は感染者である。
②諸外国に比べて日本の感染者数、死亡者数、致死率はずっと低い。
(ア)オミクロンの流行が始まってからは致死率が下がり、死亡者数が特に低くなった。
(イ)しかし感染力が高いので世界的にはかなりの重症者数、死亡者数が出ていて、これは日本でもほぼ同じ。
②日本でのコロナ死亡はやや過小評価されている。感染症動向調査では隔離解除後に病状が悪化して亡くなった人は含まれていない。コロナから回復しても合併症で亡くなる人が多いので、日本のコロナ死亡は実際の数字より多い。
2.新型コロナは密な接触によって拡がる(糞口感染はきわめて稀)
①マスクは不織布マスクが最も有効でフェイスシールドは効果が低い。
②鼻マスクや顎マスクではオミクロン株は防げない
③双方がマスクをして2m以上の間隔を保てば感染率は低くなる。
3.mRNAワクチン
①感染予防
ワクチン2回接種は後遺症予防にも役立つ。重症化予防効果がある。追加接種をすれば、変異株に対する抵抗性も獲得することができる(ただし、2回接種だけではオミクロンに対する防御は不十分)。
②安全性
ワクチン接種のために死者が増えていることはない。ワクチン接種をせずに感染すると、脳内出血、血栓症、塞栓症、心筋梗塞、心筋炎のリスクが感染前に比べてぐんと高くなる。
③変異株について
これまでのところ変異株はおよそ数か月ごとに出現し、新たな感染流行の波を引き起こしている。特にオミクロンは免疫を回避する性質を持つので以前の免疫が効きにくく再感染を起こしやすい。
④国産ワクチン
来年には使用可能のはず。追加接種には使えるかもしれない。
4.経口薬
経口薬はいくつか開発されているが、後遺症・供給量の問題でまだ未知数。
5.抗体療法
新型コロナの重症化を止める抗体が医薬品として使えるようになってきた。安全性は高いが、供給の問題がある。最近はオミクロンに効果を示す抗体医薬も開発されつつある。
結論
ワクチン接種を進めることは必要だが、ワクチンだけではコロナは防げない。
当事者意識を持ってしかるべき感染対策を行うことが大事である。それが結果的に「自分の身は自分で守る」ことにつながる。